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ユニットケアの実践

ユニットケアの実践

施設の形態はいろいろあります。どの施設でもユニットケアを実践するには、共通した下記5つの視点の用意が必要です。この視点を施設形態や地域に合わせてどこまで実践していけるか?下記を読んで確認をしていきましょう。

  • 基本的な考え方
  • 理 念
  • 環 境
  • 暮らしのサポート
  • チームケア
  • 体 制

ユニットケアの基本的な考え方

  1. 暮らしに視点を置く(疾病や障害があったとしても、その人がどう1日暮らしていくかの視点)
  2. 暮らしは人それぞれである(その人の暮らし方は、教えていただかないとわからないのでアセスメント・24Hシート等で調べる)
  3. ユニットケア実践には、施設の運営論(システムの構築)が必要

理 念(ミッション)

法人・施設が何を目指して存在しているかを表したものです。施設だけではなく、理念は企業や行政でも存在しています。

存在方法
  1. 法人と施設が同じ
  2. 法人、施設、事業所ごとに異なる
決め方
  1. 設立者・運営者が決定
  2. 職員を含めたチームで考え、理事会等の承認を得る
理念を理解し、浸透する方法
  1. 行動指針(スタイル)で判断基準等を言語化しわかりやすくする
  2. 運営(経営)目標(ビジョン)を立て、何をいつまでするかわかるようにする
  3. 理念を伝える場を設ける(1回ではなく、繰り返し行う)
  4. 職員手帳等を作成し、常に振り返られるようにする
  5. 管理者は職員が理念を理解しているか?時々確認する

環 境

施設が建てられている地域や建物を含めた環境のことです。

大事なこと
  1. 利用者目線

    「高齢者は古い物、自分が使った物がいい?」という思い込みは禁物。そうでない高齢者もいる。地域・個人により文化や好みは異なる → 建物の理論があるのでそれも理解する

  2. 飾りつけや置物等は、本物にする
  3. 高齢者の生理や身体機能、地域文化に合わせる
    1. 掲示物等の目線の高さ・・・車いす目線
    2. ADLや障害に合わせ自立できる用具の整備・・・モジュラー型車いす・椅子テーブルは高齢者に合わせた高さ、福祉用具の活用
  4. 全員が「居心地がいい」という場は少ないので、いくつかの場(スペースが狭くてもいい)を用意し、高齢者に選んでもらうようにする
  5. 「何かを飾らなくては!」という強迫観念はいらない。木をふんだんに使用し、壁の色等に配慮があれば、それだけでも居心地がいい。ポイントを置きたいときは絵や観賞用植物を!(絵は高価でなくとも、誰が描いた絵でも額に入れ飾ればOK)
  6. 色調や材質は揃える
  7. 専門的知見を発揮し、町の家具屋の家具等の調達OK。高さなど足きりの調整は必要
  8. 家と同じように観賞用植物や生花を飾るといい
建物の理論・・・4つのスペース
  1. 街の部分(パブリック・セミパブリックスペース)
    1. 玄関・ロビー・地域交流スペース(売店・レストラン等)・ユニットとユニットの間のスペース(多床室の場合は居室と居室の間のスペース)・エレベーター前
  2. 暮らしの部分(プライベート・セミプラーベートスペース)
    1. ユニット型施設はユニット部分
    2. その他は、居室・リビング・キッチン・トイレ・浴室など
具体的な整備の仕方
  1. 街の部分
    1. 本物(街の光景)にする
    2. 通路や廊下等が殺風景のときは、絵や観賞用植物
  2. 暮らしの場
    1. 居室・・・持ち込み家具・備品・照明の色・家族が滞在できる椅子等
    2. キッチン・・・ひと通りの家電製品等(家族等も使える位置に置く)・個人持ちの茶碗・湯飲み・マグカップ等、食卓は高さを考え3卓以上(10人規模の場合)
    3. リビング・・・TV・ソファー・絵・時計・カレンダー・観賞用植物・花等、他に小さくとも別の場があると尚いい(居場所・心地よさは人それぞれ)
    4. 浴室・・・職員の掃除用具等は見えないように収納・重度化対応でリフト浴
    5. トイレ・・・臭い・感染を発生させないためにも汚物を置かない(汚物処理室に入れる)
  3. 各スペースの使い分けをする(同じ家具等を同じように置かない)

暮らしのサポート

個別ケアを念頭に!

具体的な視点
  1. ケアの視点の統一・・・1日の暮らし(暮らしの最小単位)
  2. 1日の暮らしぶりを教えてもらう・・・アセスメント(24Hシート等)
  3. アセスメント結果から多職種でプランを作成・実践(本人・家族の同意)
  4. ケアの考え方・方法等のマニュアルを用意(まとめたものを作成しておかないとばらつきがでる)研修の教材にもなる
  5. 利用者の状況により、福祉用具やセンサーの活用で直接介護の必要な事とそうでないことを見極める(見守りセンサーを導入しても全員に2時間毎の定期巡回をしている所はありませんか?)
1日の暮らしの考え方
  1. 人それぞれ
    1. 目覚め・整容・着替え・排泄・朝食等の順番は人それぞれ、それに従う(施設が順番を決めない)・・・アセスメントに基づき行う
    2. 個人好みのものは持参してもらう
  2. 排泄
    1. おおよその個人データをとり(1週間位)、アセスメントし、プランを立てる(アセスメント結果に対して専門家の知恵を借りてプランを立てると効果大)。施設の定時一斉交換は無い
    2. 排泄用品は個人ごと、時間ごとに対応
    3. 排泄用品は出来れば個人の居室においておくことが望ましい
    4. 排泄に伴う清潔用品等の運搬はそれとわからないようなトートバッグ等の使用がいい(プライバシーを守る)
    5. 「他人に見せたくない」利用者の気持ちを理解し対応する
  3. 食事
    1. おいしい・楽しいが基本
    2. 量・内容・時間・回数等栄養・医療職等と情報共有して、利用者に合ったものとする
    3. 一人一人、食事の姿勢をきちんと保つ(食器・自助具・椅子・テーブルの高さ・照明・車いすの種類)
    4. 個人嗜好の調達は基本的に自己負担
    5. 調理方法は、施設自前・施設委託業者・セントラルキッチンよりの配達等、様々
    6. 食形態に伴う製品はどんどん進化しているので、情報をとる
    7. 施設内料理の場合、厨房関係者は利用者がどのように食しているか?現場を見るとよい(栄養士も同様)
    8. いつも通りでない時(遅く起きた等)どうするか?多職種であらかじめ決めておく(薬も同様)
    9. おやつは、食堂からの一斉配布もあるが、ユニットごとの対応もある
    10. 猫舌の人はいるが、ご飯は炊きたて、みそ汁の作り立てはおいしい
  4. 入浴
    1. 個別対応が基本(湯の温度・使用する入浴備品等)
    2. 利用者は裸になり介助を受けるということを忘れない
    3. 1対1のコミュニケーションの場・全身観察の場
    4. 重度化対応で職員を守る抱えない対応(リフト等福祉用具の活用)
  5. 就寝
    1. 職員の業務遂行の為、利用者のリズムと関係ないベッド誘導は避けたい
    2. 部屋が眠りに適しているか?(照明・色・温度・湿度・音・落ち着く場…)
    3. 就寝中の確認には、ITで効率的な運用ができる。→ 機器の導入だけでその効果を検討せず、従来とおりの巡回をしていては、効率化に結び付かない
    4. 夜間の排泄も利用者一人一人のアセスメントより、可能な限りの熟睡対応できる方法を考える
  6. その他余暇時間
    1. 暮らしの場(ユニット以外)以外の場(建物の理論の街部分)を活用する
    2. いつもの職員と違う風が流れるのも新鮮・・・ボランティア等の活用
    3. 催しのプログラムは介護(ユニット担当)職員以外が担当するといい
    4. 全員参加ではなく、個人の意向を重視
    5. 実際参加しなくともみているだけの参加もOK

チームケア

どんなに頑張っても1職員の労働は8時間のサポート。365日24時間のケアの実践はチームでないと成立しません。施設ケアの良さは、多職種が配置されている事。情報の共有をいかにスピーディに正確に出来るかにつきます。DX化が進めやすい部門です。効率化・労働の軽減化には、今は、DX化は避けられません。

情報の伝達
  1. 伝えるべき情報内容・伝える対象者・手段を整理
    1. チーム(ユニット・フロア等)
    2. 全職員
    3. 幹部職員
  2. 手段の検討…IT機器の活用…Chat・line・インカム・スマホ・・・様々。導入だけでなく、使いこなす事(慣れるまでは時間がかかりますので焦らずに!)
情報の共有
  1. 記録・・・ITの活用
    1. 仕事の成果を目に見える形で表せる(ケアの実績書・請求書)大事な要素
    2. 記録に残す内容を整理する(アセスメントがあればそれに対して結果を残せる・何を記録すればいいか?がわかる)
    3. 記録手段 → 記録ソフト・スマホ入力・音声入力等技術進歩は目まぐるしく(何をどう表すかは検討しておく・ただしゃべればいい記録はNG)導入で時間短縮ができる
    4. ITの活用で、データの蓄積・整理・分析ができ、次のケアに発展させられる
  2. 会議・ミーティング・・・意見を交わす場として大事。方法としては、ZOOM等もある中、どの手段を活用するか?施設の状況で検討
    1. 施設内で会議・ミーティングの種類と位置づけを決める
    2. ケアグループの最小単位(ユニット等)のミーティングでも多職種の参加が望ましい

体 制

1人の職員で何人の利用者をサポートできるか?利用者は何人位のグループでそれぞれの暮らしが営めるか?検討する。そして、働き方改革。全員同じ働き方ではない多様な働き方を見出す、そのためにはAI等の活用。

情報の伝達
  1. 500情報=10人(利用者)×50(利用者1人当たりの情報)
    500情報=25人(利用者)×20(利用者1人当たりの情報)
    この構造式より、自施設での体制を決める
  2. ユニット型以外の従来型等施設では、建物の構造を考え、人数割だけの無理なグループ決めをしないことが望ましい
  3. 働き方改革
    • 勤務表は毎日同じではない
      →どの日、どの時間のニーズを明確に(24Hシート一覧表活用)
    • 職員の勤務形態の多様化
    • 直接介護、間接介護の見極め
    • 関わる人の多様化(高齢者雇用・ボランティア)
    • ニーズより、勤務表作成へAIの活用